caveat emptor (ケイビエット エンプター)

c9b7f9a4877cf5578c8fe20a943930be_sラテン語の「caveat emptor (ケイビエット エンプター)」という言葉を聞かれたことははあるでしょうか。

英語では「 let the buyer beware. 」となり、「買い物をするものは用心を心がけよ。」という意味。買主が購入時に商品の特性や価値を把握すべきだということ。

もう少々具体的には、「売買契約において、売買される対象の権利、機能、性能等について買主が確認すべきであり、契約条件に保証等の特約が無い限り、売り主の詐欺でもなければ、その瑕疵(キズ、欠陥、問題等)は不注意であった買主負担である。」とする考え方。

歴史的にはcommon law(コモン・ロー)上の取引原則であったが、今日、この原則が法律や判例によって”著しく”弱められている。しかし、そういうことから買主は保護されているとの思い込みで、お得に見える不正な商品やサービスにも手を出しそうになる。

そんな場合、身近で客観的な友人であれば助言するでしょう…「ある商品やサービスが、他の同様な商品やサービスより遥かに安い価格である場合、どこでその差が生じているのか、当然に買主が確認すべきだろうね。」…と。

不正を行う側の理由は大抵こうだ。「悪いとは知りつつ…」「仕方なく…」「分からないと思った…」・・・。仕事に対するプライドはおろか、責任すら見当たらない。商品やサービスに瑕疵があった場合、法的には買主が保護される場合でも、この様な意識の売り主に何を期待できるだろうか?つまりは、利益が回復できるとしても、時間や費用、労力を要し、結果的に買主は虚しい負担を免れないということを心に留めておくべきでしょう。

「お客様」は…王様、神様…いくつかの表現を耳にしますが、王様や神様に不当な行為をすべきでないのは無論、王様や神様の企業への要求には程度があるというのも論を俟たない。


日本の民法では(2014年9月22日現在)

第401条(種類債権)
  1. 債権の目的物を種類のみで指定した場合において、法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならない。
  2. 前項の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする。
第534条(債権者の危険負担)
  1. 特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。
  2. 不特定物に関する契約については、第401条第二項の規定によりその物が確定した時から、前項の規定を適用する。
第535条(停止条件付双務契約における危険負担)
  1. 前条の規定は、停止条件付双務契約の目的物が条件の成否が未定である間に滅失した場合には、適用しない。
  2. 停止条件付双務契約の目的物が債務者の責めに帰することができない事由によって損傷したときは、その損傷は、債権者の負担に帰する。
  3. 停止条件付双務契約の目的物が債務者の責めに帰すべき事由によって損傷した場合において、条件が成就したときは、債権者は、その選択に従い、契約の履行の請求又は解除権の行使をすることができる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。
第536条(債務者の危険負担等)
  1. 前二条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。
  2. 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
第563条(権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任)
  1. 売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。
  2. 前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。
  3. 代金減額の請求又は契約の解除は、善意の買主が損害賠償の請求をすることを妨げない。
第564条(権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任)
前条の規定による権利は、買主が善意であったときは事実を知った時から、悪意であったときは契約の時から、それぞれ一年以内に行使しなければならない。
第565条(数量の不足又は物の一部滅失の場合における売主の担保責任)
前二条の規定は、数量を指示して売買をした物に不足がある場合又は物の一部が契約の時に既に滅失していた場合において、買主がその不足又は滅失を知らなかったときについて準用する。
第566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
  1. 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
  2. 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
  3. 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。
第570条(売主の瑕疵担保責任)
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

その他:


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