人生の事故は、笑わなくなった時に始まる。

昔、お世話になった大先輩から教わった言葉があります。

「笑いが起こっている場面では事故が起こりにくい」

もちろん、誰かが無茶をしたり、危険を顧みずに盛り上がったりして起こる笑いではありません。

その場にいる人たちに余裕があり、周囲を見ることができ、楽しむ余裕がある状態

そうした場面で生まれる自然な笑いのことです。

長年ダイビングに関わってきて、この言葉には確かに一理あると感じています。

海では余裕を失うと視野が狭くなります。

呼吸が速くなり、自分のことだけで精一杯になり、周囲の変化にも気付きにくくなります。

反対に、皆が楽しそうに笑っている時は、不思議とチーム全体に余裕があります。

それは安全にもつながっているように感じます。

この言葉は、私にとって事故を防ぐための教訓というだけでなく、人生の航路を確認するための指標にもなってきました。

進む方向を間違えそうになった時や、無理を重ねて余裕を失いそうになった時、

「最近、ちゃんと笑えているだろうか」

そう自分に問いかけることで、軌道修正できたことが何度もあります。

私たちはつい、

  • もっと評価されたい。

  • もっと収入を増やしたい。

  • もっと周囲より良い結果を出したい。

そんなことを考えてしまいます。

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。

しかし、それを追い求めるあまり、常に時間に追われ、気の休まることがなく、笑う余裕すら失ってしまうのであれば、それは別の意味で事故のような状態なのかもしれません。

海で例えるなら、

  • 友人が潜った有名ポイントへ行きたい。

  • まだ誰も潜ったことのない場所へ行きたい。

そんな気持ちが先行して、コンディションの悪さを無視して潜っても、きっと楽しくはありません。

むしろ危険が増えるだけです。

日常生活も少し似ている気がします。

海では波や流れによって、その場で危険を感じることができます。

ところが日常では、少しずつ積み重なる無理やストレスは見えにくい

だから気付かないまま何年も続き、気付いた時には大きな負担になっていることがあります。

だから私は、人生において無理をし過ぎないための一つの指標として、

「最近、ちゃんと笑えているだろうか」

を大切にしています。

  • 家族と。

  • 仲間と。

  • 仕事仲間と。

心から笑う時間があるだろうか。

もし、それが何日も、何週間もない状態が続いているのであれば、海で言うところの注意報や警報が出ている状態なのかもしれません。

もちろん、人生に常に笑いがあるわけではありません。

大変な時期もあります。

頑張らなければならない時もあります。

それでも、少し立ち止まって振り返った時、

「最近、心から笑ったのはいつだろう」

そう自分に問いかけてみることは、人生という長いダイビングを安全に楽しむために、意外と大切なことなのかもしれない。

そんなことを思っています。




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