文部科学省は「新しい時代を生きるための教養」の重要な要素として「他者の立場に立って考えることができる想像力」を第一に位置付けている。
言葉ではわかっていても「どうやって相手の立場になるか」は大きな課題として残る。学校では一般に心理を学ぶ機会は少なく想像力を働かせても「自分で考える他者の立場」は自らの発想にとどりがち。
甘さや酸っぱさは何料理かを知って初めて善し悪しが分かるように、まずは他者の立場を考えるにあたってそもそも心理にはどんなものがあるかを知っておきたい。
哲学の一分野として
人間の心をめぐり様々な哲学者や医学者らが探求していた。
古代ギリシャ
17世紀
- 能力心理学(ルネ・デカルト)
生まれながら様々な概念が予め備わってる - 連合心理学(ディヴィット・ヒューム、ジョン・ロック)
経験によって知識を習得する
自然科学的な心理学へ
19世紀~20世紀
「実験」と「観察」を用いて実証的、自然科学的に探究する「実験心理学」へ
- 構成主義心理学(ヴィルヘルム・ヴント)
様々な刺激への心の動きを聞き取り調査(内観法)し、心理的要素と構成法則を明らかにしようとした。 - ゲシュタルト心理学(マックス・ヴェルトハイマー)
フィルム映画を構成主義では、ひとコマずつの静止画を認識することになるが、人は構成する静止画より映像として認識している(仮現運動)ことから、知覚は個々の感覚刺激に還元されず、全体的枠組みに規定される。
※ゲシュタルト(独:Gestalt)=形態 - トポロジー心理学(クルト・レヴィン)
行動は個人のパーソナリティや欲求以外に、置かれている生活空間に影響を受けている
新たな分野へ広がる心理学
様々な学問と連携することで、マーケティングや商品開発、教育、スポーツ、医療などで応用され活用される範囲が広がっている。
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- 行動主義(J.B.ワトソン)
ヴントの内観法が非科学的だとし、刺激や反応の関係を研究から客観的にデータを集めるべきとした実験から、不安や恐怖は後天的な環境によるところが大きいと唱えた。 - 新行動主義(クラーク・ハル、エドワード・トールマン、バラス・スキナー)
行動主義は人間の多様性を機械的に捉えすぎとし、複雑で多様な意識の過程も反応のひとつとして扱うべきだと唱えた。 - 精神分析学(ジークムント・フロイト)
行動には「無意識の願望(原始的な衝動であるエス、自我、超自我)」が関わっている。 - 基礎心理学
心理学の一般法則を研究する- 社会心理学 社会の中で集団や個人の行動を科学的手法の研究
- 認知心理学 知覚、記憶、理解、思考など人の認知機能の研究
- 発達心理学 赤ちゃんから子供、成人、大人、老人と発達過程の心理の研究
(乳幼児心理学、児童心理学、生年心理学) - 生理心理学 行動の心理的機能と生理的機能の関係の研究
(事故による脳欠損、パブロフの条件反射、神経科学の一部) - 異常心理学、学習心理学、言語心理学など…
- 応用心理学
基礎心理学での法則を様々な領域の問題に活用する- 性格心理学 性格が作られる過程や発達に関わる心理の研究
- 経済心理学 経済活動の中で不合理に働く人間の行動の研究
- スポーツ心理学 運動の学習効果や競争と協力による効果の研究
- 色彩心理学 色による行動、重さや時間や位置の感覚への効果の研究
- 犯罪心理学 犯罪に関する防止、捜査、更生などについての研究
- 臨床心理学 精神的な問題の診断、治療、環境適応などに関する研究
- 産業心理学、災害心理学、交通心理学、教育心理学など…
- 行動主義(J.B.ワトソン)