Q.口がきけなかったり、耳が聞こえなくても公正証書遺言はできますか?
A.できます。
民法改正により、平成12年1月から自書ができれば公証人の面前でその趣旨を自書することにより(筆談により)、手が不自由で自書のできない場合は、通訳人の通訳を通じて公証人に意思を伝えればよいことになりました。
もともと口のきけない方、脳梗塞等で口がきけない方、気管に穴を開いていて口のきけない方の場合、例えば、公証人が病院等に赴いて遺言書を作成することもできます。
公正証書遺言は,作成後遺言者及び証人の前で読み聞かせ、正確性を確認しますが、通訳人の通訳又は閲覧により筆記した内容の正確性を確認することができるようになりました。
第969条(公正証書遺言)
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
- 証人二人以上の立会いがあること。
- 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
- 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
- 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
- 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
第969条の2(公正証書遺言の方式の特則)
- 口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第二号の口授に代えなければならない。この場合における同条第三号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。
- 前条の遺言者又は証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第三号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。
- 公証人は、前二項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。