こんにちは!ココモの唐土です。
5つの要素に分類してみる
コミュニケーションで伝える対象を5つに分類してみましょう。必要なのはどの分野ですか?
- 技能、Motor skill、運動技能
- 知識、Knowledge・skill、知的スキル
- 言葉による情報、Linguistic knowledge、言語的知識
- 姿勢、Attitude、心構え
- 枠組み、Schema、パターン認識・スキーマ[1]「スキーム(scheme)」 と「スキーマ(schema)」はほぼ同じ意味だが、一般にスキームが具体的にほぼ完成された計画や図を意味するのに比べて、スキーマはおおまかなそれ。
1.技術(モータースキル)
熱心な指導者ほど「説明」に力を入れがちですが、モータースキルは受け手が(受講生)が、実際にやってみてナンボです。効果が下がるのは次のような場合です。
- 事前の説明が長すぎる
- 受講者のモチベーションが下がる
- 情報過多による消化不良をおこす
- 練習すべき時間を減らしてしまう
- 指導側は伝わったと思い込みがち→指導が厳しくなる
- 事前の説明が短かすぎる
- 追加説明が必要→練習が中断する
- 自力でできるかの確認が必要
- 個別にはできても全体のイメージがもてない
事前の説明を効率よく準備するには?
- ブリーフィング[2]事前の説明を単純にシステム化しておく
- 手本[3]デモンストレーションの見せ方やポイントを整理しておく
- ミス、トラブルの予想と対応方法、フィードバックの方向性を準備しておく
- 計画、役割分担[4]コーチ役、アシスト役等、コミュニケーション方法等を統一しておく
- デブリーフィング[5]復習、フィードバック、再確認などを単純にシステム化しておく
2.知識(ナレッジ・スキル)
知識とは正しく適用したとき、最も生産的な資源となる。逆に間違って適用したとき、最も効果でありながら、全く生産的でない資源となる。 [6]Peter F. ドラッガー
知識に様々な要素を加味することで学習効果を高めます。ストーリー性を持たせ、応用の確認[7]マスタリー・チェックを随時行えるように、全体の構成をフレームワーク化しておく。
効果的で汎用性のある枠組みを用意し、指導や練習の基準を統一しておくことで、テーマや指導者が変わっても同様な効果を得ることが期待できます。ロールプレイングをとおした共通の評価が可能となります。
3.言語的知識
レジュメやビデオでは同じ解説を繰りかえすのみで、場面に即していないことがあります。
言語的知識としての指導とは、単に話法のトレーニングに力を注ぐのではなく[8]ある程度は必要ですが。、個々に合わせる「手法」で効果を高めます。
例えば「図」であれば、どう提供するか、どう使うか、「例題」であれば…「ロールプレイング」であれば…など。
指導者が、場面合った手法を使わなければ、単なる個性任せの管理できてない教育プログラムとなってしまいます。
ひとつの知識に対して、多角的な説明や、ディスカッションの相互表現等を経て意味や価値観が加ってはじめて実のある知識として記憶にとどまります。
言語的知識は、1.技術や、2.知識を、効果的に身につけるために欠かせない要素として取り扱う必要があります。
4.姿勢
例えば次のような場面では…
- 指導者側はやる気満々でも、受講側が義務感で参加している…
- 重要な内容だとは分かっていても繰り返しのトレーニングに入った…
など・・・
「姿勢」は刻々と状況で変化し、なかなか整えにくく、雰囲気を良くも悪くも変化させていきます。乱暴な言い方をしてしまえば、カリスマ的指導者の場合双方の姿勢はそもそも気になくてもいいです。
人の心理を良い方向へ向けるには、ある程度は形から入る必要があります。
例えば、まず用意できるものは..見た目、格好、立ち姿勢…目に見える姿や形などです。
根本的なものとしては、手間隙掛かけなければ用意や対応ができない、心構え、価値観、感情、気持ち、気構えや決意などです。
知識に、静的または動的な行動が加わり、自信や姿勢に影響を及ぼすので、指導やコミュニケーションのトレーニングには、一定の水準を設け、見直すことができる工夫が必要です。
5.枠組み(スキーマ)
オリンピックの選手ですら、試合のイメージトレーニングをすることで、試合前にイメージを形作ります。会場の他、控え室、通路、トイレにいたるまでビデオ撮りをし、試合当日、慣れてないはずの会場で、当たり前のように行動できるよう頭の中で組立てをしています。
場当たり的な指導やトレーニングに偏らず成果が期待できるには、特定の目標、行動、方法等について、簡単に覚えられる枠組みを作り、使用します。
新しい経験に出くわしても、過去の経験で身につけた枠組みが理解を高める助けとなります。[9]「スキーム(scheme)」 と「スキーマ(schema)」はほぼ同じ意味だが、一般にスキームが具体的にほぼ完成された計画や図を意味するのに比べて、スキーマはおおまかなそれ。
Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)という管理手順もその典型例です。
学習の5つのカテゴリーは相互に絡み合います
それぞれのカテゴリーは、個別のものでなく相互に関連しています。
これらベースが身につけば、コミュニケーションや、プレゼンテーション等の場面では、欲張り過ぎない程度で他の要素も盛り込むことが容易になり、さらに効果が期待できます。
通り一遍等になりがちな指導やトレーニングで、これらカテゴリーを適所で意識して取り扱うことで、より短い時間でより効果が上がることになるでしょう。
今回のまとめ
- 5つのカテゴリー: 学習や交流のプロセスには5つのカテゴリーに分類できる
- 適した対応: カテゴリーに合わせた方法での情報提供やコミュニケーションが効果的
次回は…
【次項】次回は到達点としての「マスタリー」と「マスタリーラーニング」についてです。
注釈
1. | ↑ | 「スキーム(scheme)」 と「スキーマ(schema)」はほぼ同じ意味だが、一般にスキームが具体的にほぼ完成された計画や図を意味するのに比べて、スキーマはおおまかなそれ。 |
2. | ↑ | 事前の説明 |
3. | ↑ | デモンストレーション |
4. | ↑ | コーチ役、アシスト役等 |
5. | ↑ | 復習、フィードバック、再確認など |
6. | ↑ | Peter F. ドラッガー |
7. | ↑ | マスタリー・チェック |
8. | ↑ | ある程度は必要ですが。 |
9. | ↑ | 「スキーム(scheme)」 と「スキーマ(schema)」はほぼ同じ意味だが、一般にスキームが具体的にほぼ完成された計画や図を意味するのに比べて、スキーマはおおまかなそれ。 |